そもそもクラウドとは?今さら聞けないクラウドの基本

コスト削減や生産性向上を目的に、企業のIT化が進む昨今、なかでも近年注目を集めているキーワードに「クラウド」があります。実際、テレビCMやWeb広告などでも、「クラウド化で業務効率化」や「便利なクラウドサービス」といったキャッチを見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。ただ、漠然と「何となく良さそうなITサービス」という認識はあっても、詳しくは分からないという方も多いはず。今回はそんな「クラウド」について解説します。

クラウドとは?

ITサービスにおけるクラウドとは、「クラウドコンピューティング」を略したものです。クラウドは「雲」という意味ですが、なぜクラウドと呼ばれるようになったかは諸説あります。一般的には「IT業界ではインターネットのイメージを雲で表すことが多かったため」と言われています。クラウドは「インターネット経由で利用できるサービス」の形態の一つで、最大の特徴は「所有」ではなく「利用」という点にあります。どういうことなのか詳しく見ていきましょう。

「物」を所有しない

例えば、「オンラインストレージ」というクラウドサービスを考えてみます。オンラインストレージとは、簡単に言えばインターネット上で使えるハードディスクのようなものです。インターネットにさえつながれば、どこにいてもデータを保存したり、取り出したりできる便利なサービスです。ただ、実物のハードディスクのように「物」を所有しているわけではありません。そのため、「使わなくなったから売る」といったことができない一方で、自分のものではないので壊れても自分で修理に出す必要はありません。

利用した分だけ料金を払う

有料のクラウドサービスは、基本的に使った分だけ料金が発生する仕組みです。ただ、計算方法については「使った時間」や「利用する人数」など、サービスによって異なります。いずれにせよ、利用する量に応じた料金体型になっているのが一般的です。

クラウドのメリットとデメリット

多くのビジネスシーンで活用されているクラウドは、所有しないことでいくつものメリットを享受できます。ここでは主なメリットに加えて、デメリットも併せて紹介します。

4つのメリット

クラウドのメリットとしては、以下のようなものがあります。

導入にコストと時間がかからない

機器やソフトウェアを購入する場合、どうしても初期コストがかさみます。しかしクラウドの場合、機器やソフトウェアを自前で用意する必要がないので、初期投資を抑えられます。料金さえ払えばすぐに利用可能です。インターネット経由でサービスを利用するので、準備が簡単で導入に時間もかかりません。

メンテナンス不要

自社所有の機器や自社開発のシステムなどは、定期的にメンテナンスが必要です。一方、クラウドの場合はサービスを提供している会社側がメンテナンスを行うため、利用者側が維持管理をする必要がありません。

「合わない」と感じたらやめられる

モノやサービスを購入した場合、不具合でもなければ基本的に払い戻しはできません。仮に「システムを導入したものの、社員に不評で使わなくなった」という場合、投資した資金が無駄になってしまう事例も起こり得ます。クラウドの場合、実際に使ってみて、「合わない」と感じれば利用をやめられるため、気軽に「お試しで1ヶ月ほど利用してみる」といったことも可能です。

インターネットにさえつながれば利用できる

モノやサービスを購入した場合には、機材がない外出先やソフトがインストールされてない機器では利用できないのが普通ですが、クラウドの場合は、インターネットにさえつながれば場所や時間を選ばずにサービスを利用できます。そのため外出先で利用する機会が多い場合でも、インターネット環境が整っていれば社内と同様の業務が可能になります。

3つのデメリット

メリットが多いクラウドですが、いくつかのデメリットもあります。ここでは3つのデメリットについて紹介します。

カスタマイズがしにくい

クラウドは、カスタマイズもサービスの範囲内でしかできません。そのため、会社の状況に合わせて細かくカスタマイズを行うといった柔軟な対応は難しくなっています。

セキュリティ面のリスク

インターネットサービスのため、情報漏えいのようなリスクは付きものです。ただ、個人情報や顧客データなど、重要な情報の集まりやすいクラウドサーバはセキュリティを強固にしています。以前は、クラウドは安全性に問題があるのではないかと指摘されていましたが、現在ではそこまで懸念する必要はないでしょう。自社のシステムでもインターネットにつながっていればリスクはあります。また自社で個人情報など重要データを保管するよりも、外部で十分なセキュリティ対策のもと管理するほうが情報漏えいリスクを低減できるとも言えます。

コストが高くなる可能性も

初期コストやメンテナンス費用の点では、クラウドは優れています。ただ、サービス内容によっては必ずしも安いとは限りません。利用料金はそれなりにかかりますから、初期コスト、ランニングコスト、トータルコストなどを精査して利用を検討する必要があります。

オンプレミスとクラウドの比較

インターネットを介して利用する「クラウド」に対し、自社内で設置・管理する形態を「オンプレミス」と呼びます。次は、クラウドとオンプレミスとを比較した場合の違いについて解説しましょう。現在オンプレミスで運用している担当者にとって、クラウド導入の参考になるでしょう。

運用コスト

導入コストとメンテナンスコストがあるオンプレミスでは、使い始めと修繕が必要になった際に大きなコストがかかりますが、それ以外は比較的低コストで済みます。一方、クラウドは日々の使用料金がかかることになりますが、値上げがなければ常に料金が一定であるため、導入や修繕などのある特定の時期に大きな出費が重なるということはありません。Webサイトなどの場合、ページ数の増加やアクセス数の増加に対応するためにサーバを増設する場合があります。こうしたサーバ増設などの変化への対応力はクラウドが優れているといえます。

機器管理

機器の管理が必要なのは、オンプレミスのみです。クラウドの機器管理はサービス提供企業が行います。またシステムのアップデートについても、オンプレミスでは自社の担当者が行うため、機器管理を行うエンジニアを新たに雇い入れるか社員の中から選出する必要があるのに対して、クラウドでは事業者側が行うため機器管理についてクラウドサービスを導入する企業側が考える必要はありません。

リスク管理

クラウド上には重要な情報が集積されている分だけ、外部から狙われる懸念もあります。しかしながら、情報流出はクラウド企業の信頼を揺るがしかねない大きなリスクのため、しっかりと守りを固めているはずです。一方、オンプレミスの場合は自社でセキュリティ対策をしておかなければなりません。

自由度

オンプレミスの場合、自社用なので自由にカスタマイズが可能です。クラウドも一定の範囲内ならカスタマイズできますが、自由度でいえばオンプレミスには及ばないでしょう。

人的リソース

オンプレミスでは、少なからず専門知識のある人材が必要になるでしょう。管理の必要がないクラウドの場合はそれが不要です。人的リソースが不足している企業においては、クラウドサービスを利用することで人手不足の問題を解決できる場合があります。

上手に使って業務効率化

自社内でのシステム開発や運用を行ったり、自社に合うかどうかも分からないソフトウェアを購入したりすることなく、気軽に試せるのがクラウドサービスです。メリットもデメリットもあるクラウドですが、特徴をしっかり理解して使えば業務効率の向上に役立ちます。興味があるWeb担当者は、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。