企業サイトはあって当たり前の時代、その役割と活用法

総務省の調査によれば、2017年度時点で自社のWebサイトを開設している企業の割合は89.6%、業種によっては99%を超えています。企業のWebサイトと言えば、会社の情報を公開しているコーポレートサイトをイメージするかもしれませんが、他にも役割があります。さまざまな目的で開設される企業サイトの役割と活用法について解説します。

あるのが当たり前になった企業サイト

学生が就職活動で会社訪問をするとき、あるいは営業マンが新しい取引先を訪れるとき、まずやることは訪問先企業のWebサイトを確認することでしょう。今や企業にとってWebサイトがあるのは当たり前になっています。お店に看板が、事務所に電話が必要なように、企業にWebサイトは必要不可欠なものとなりました。

SNS全盛時代においては、消費者の立場で何かを調べる場合にTwitterやInstagramなどで検索するという人も少なくありません。しかし、当事者である企業が発信した情報であれば、企業の特徴や重視しているコンセプトなどを読み取ることができます。もし、企業自身が何も発信していなかったら、うわさ話だけが世の中に流通することになりかねません。また、商品についての成分や仕組みなどの詳細な情報や開発秘話、サービスの歴史も、自社サイトだからこそ掲載できる内容です。

総務省は定期的に企業のインターネット利用動向を調査しています。2017年度(平成29年度)の調査で企業が何のためにホームページを開設しているかをたずねた項目では、93.7%の企業が「会社案内、人材募集」を挙げています。次いで、「商品や催し物の紹介、宣伝」が67.1%、「定期的な情報の提供」が46.9%などとなっています。情報を外に出す宣伝手法の一つとして企業サイトを使っているという印象ですが、逆に「申込や届出の受付」(16.6%)、「消費者の評価・意見の収集」(9.4%)に使っているという企業もあります。あるのが当たり前の企業サイトだからこそ、これからはただ持つだけではなく、うまく活用することが重要になってくるでしょう。

企業サイトの役割と活用法

ここまで「企業サイト」と表現してきましたが、一口に企業サイトと言ってもいくつか種類があります。例えば、企業サイトには「コーポレートサイト」「ブランドサイト」「商品・サービスサイト」「ソリューションサイト」「ECサイト」などがあります。これらのサイトは何を扱うかにより分類できると同時に、何を目的としているかにより作り方が変わってきます。以下で、その分類を説明します。

役割①:情報提供のためのサイト

企業情報を提供するコーポレートサイトやブランドサイト、商品・サービスサイトなどは、ここに分類されます。サイトの目的は、存在を知ってもらうことや企業やブランドのファンになってもらうことです。

コーポレートサイトは、会社案内の電子版としての役割を担っています。かつては、会社情報を調べるには有料の企業情報サービスと契約したり企業情報誌などを購入したりする必要がありましたが、今はコーポレートサイトを見ればその企業についてのおおよそのことは分かります。

掲載するコンテンツとしては、会社概要や商品・サービスの紹介、ニュースリリース、トップのメッセージ、上場企業ならIR情報が必要です。また、一般消費財の場合、顧客は店舗で商品を買うのでメーカーが消費者と直接コミュニケーションする機会は限られています。そこで、企業が直接消費者にメッセージを届ける役割を担うのが、ブランドサイトや商品サイトになります。

コンテンツに求められるのは正確で詳細な情報ですが、迅速に公開されることも重要です。事業所の移転や組織改編などは速やかにコーポレートサイトに反映されなければなりませんし、新商品の発売と同時に新しいコンテンツが公開されなければ意味がありません。その他、ブランドや商品のファンになってもらうためには、裏話や遊び心のあるコンテンツがあると効果的です。

役割②:集客のためのサイト

BtoB企業の商品・サービスサイト、ソリューションサイトがここに分類されます。BtoBの商品・サービスは、最終的には営業担当者が契約を交わしてクロージングします。その前段階として、顧客になりそうなユーザーを集めるのがソリューションサイトの役割です。このため、お問い合わせや資料ダウンロードがサイトの目的になります。この時、個人情報を入力してもらう必要があるので、サイトのセキュリティが重要です。

コンテンツに求められるのは、製品自体の情報ももちろん必要ですが、それによって何がどう解決されるのかが具体的に分かる内容になっているほうが、ユーザーの気持ちを動かします。顧客企業の了承が得られれば、事例紹介を載せるのもいいでしょう。また、中小規模の企業で、コーポレートサイトで集客も行っているというケースでは、ページごとに目的をはっきりさせてコンテンツを作ることがお勧めです。余力があれば、コーポレートサイトとソリューションサイトは分けたほうがすっきりします。また、集客のためのランディングページを作るという方法もあります。

集客という意味では、BtoC企業が実店舗へ顧客を誘導したいという場合もここに分類されます。この場合は、店舗のロケーション情報が必須です。スマートフォンサイトであれば、電話番号をタップすればそのまま予約の電話がかけられるという作りにすることも可能です。また、お得情報やクーポンの配信などを活用することでも集客効果を得られます。

役割③:購買のためのサイト

ECサイトや予約サイト、サービスの申し込みサイトなどはここに分類されます。サイトの目的は商品の購入、施設の利用申し込み、Webサービスの申し込みなどで、個人情報の入力だけでなく支払いなど決済が発生するという点が、他の2つと大きく違います。そのため、安全な決済の仕組みや、攻撃にさらされても安全なセキュリティ対策が重要になります。

購入や予約といったコンバージョンを増やすための工夫としては、レコメンド(お勧め情報の提供)が効果的です。仕組みの構築に手間や費用が必要になりますが、ユーザーの購入履歴からお勧めしたり、その人に似た属性の人の行動を基にお勧めしたりするという方法があります。また、利用者の声や評価、利用までの流れなどが分かる内容が必要です。

読者を意識した企業サイト作り

企業サイトには役割や目的が違う複数の種類があります。目的が違うということは、そのWebサイトを見る人が求めている情報が違うということです。つまりサイトごと(あるいはページごと)に、どのような人が何を求めて見に来ているかを明確にし、それに合わせたサイト作りが必要です。

自社が届けたい情報をただ掲載すればいいということではなく、ユーザーの状況に合わせた提供方法が必要という意味でもあります。そのためには、Webサイトのパーソナライズが必要な場合もあります。また、コンテンツの内容を最適化するだけでなく、スマホ対応やSNSとの連携が必要になるケースもあるでしょう。いずれにしろ、せっかく顧客との接点として存在する企業サイトですから、適切な情報を適切なタイミング、適切なフォーマットで届けられるように工夫しなければなりません。

顧客ロイヤルティを高めるサイト作りを

企業サイトの役割は、単に企業情報や商品情報を発信するだけではありません。Webサイトでのコミュニケーションによって、自社のファンになってもらうことや将来的な顧客になってもらうこと、商品を直接購入してもらうこともできます。何のためのWebサイトか目的を明確にして、ビジネスに活用しましょう。