営業が無駄足を踏まないアタックリストを作るBtoBマーケティングの役割と手法と勘所

一件成約すれば大きな売り上げとなるBtoBのビジネスでは、個人の顧客が対象となるBtoCビジネスと比べると顧客対象となる企業が少ないので、営業担当者がやみくもにアプローチするのは非効率です。そこで重要になるのがBtoBマーケティングです。BtoCマーケティングとの違いや、BtoBマーケティングの手法・メリットを解説します。

BtoCとBtoBは何が違うのか

かつてBtoBの購買プロセスは、顧客となる企業が何かの課題に直面したときに担当者が取引先の営業に電話をして情報収集するところから始まっていました。しかし今のBtoBでは、多くの企業がWebサイトを使って情報収集しています。そのため顧客が営業マンと直接話すタイミングは、ある程度製品やサービス、または業者の選定をした後ということになります。

つまりBtoB企業でも、BtoC企業と同様にWebマーケティングが必要な時代になっているということです。とはいえ、BtoCとBtoBでは顧客の意思決定に大きな違いがあり、BtoCと同じようなマーケティング手法が通用しない部分もあります。

エモーショナルなBtoCとロジカルなBtoB

BtoCでは、どうしても必要だから買うとはかぎりませんし、一番安いから買うともかぎりません。人は好きな物にはお金をかけるし、安さよりも簡単に買えることを選ぶ場合もあります。つまり、BtoCの場合は、購買の意思決定をする要素のうち、「嗜好」と「感情(エモーショナル)」の要素が大きな割合を占めます。

それに対してBtoBでは、何かの課題を解決するために商品やサービスを購入するため、必要な要件は厳密に決まっています。そのため予算をオーバーするようなものは、たとえ良いものでも購入につながらないケースがほとんどです。つまりBtoBでは「ロジカル」や「経済合理性」が大きな割合を占めるのです。

BtoBでは複数の人が意思決定に関わる

BtoCでは選ぶ人(購入する人)とそれを利用する人(消費する人)は、基本的には同じです。しかしBtoBの場合は、利用者と選定者が別ということはよくありますし、選定者とは別に決裁権者がいる場合もあります。

BtoBのニーズは外的要因で急に立ち上がる

基本的に一人の気持ちの動きを考えるBtoCは、カスタマージャーニーを作りやすく、それが有効です。BtoBはロジカルに意思決定されるため顧客の動きは想定しやすそうに思えるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。なぜなら、ロジカルに事が進むのは、ニーズが明確になり、何が必要かある程度決まった後だからです。そしてそのニーズは、企業合併や海外進出など、外的な要因で急に立ち上がることがあり予測しにくいためです。

BtoBマーケティングとは

BtoBマーケティングとは、端的に言えば「案件を作ること」です。

マーケティングという言葉の意味は、「人の心を動かし、何かのアクションをさせる」ということです。BtoCであれば、「これを買いたいと思わせ、買ってもらう」ことがマーケティングです。選挙で「この人に投票したいと思わせ、投票してもらう」こともマーケティングです。マーケティングには検証して改善するPDCAが重要なので、これでは効果を追求できません。

しかしBtoBの場合は、顧客が課題解決策を探し始めてから商談が成立するまでを視野に入れて検証すると、そのマーケティングがうまくいったかどうか検証するのに数ヵ月から数年かかってしまうこともあります。マーケティングには検証して改善するPDCAが重要なので、これでは効果の追求に時間がかかりすぎてしまうでしょう。

そこでBtoBでは、受注までの流れを前工程と後工程に分けます。

  • 前工程:マーケティングが案件を作り出して営業に渡す
  • 後工程:営業が主体となって商談を成立させる

つまりBtoBマーケティングとは、「見込み顧客のリストを作って営業に渡すこと」というわけです。具体的には、展示会やセミナーで名刺を集めたり、自社のWebサイトから資料ダウンロードを行った顧客をリストにまとめたりするということです。この見込み顧客情報をリード、リード獲得をリードジェネレーションと言います。

リードを獲得するためにWebサイトに記載するコンテンツは、商品やサービスのスペックや特徴などの他に、事例が有効です。見込み顧客の企業で課題や解決策が明確になっていれば、必要な機能があるか、いつまでに導入できるか、予算内で購入できるかといった点を確認するでしょうが、どのような解決策があるか探しているという場合もあるからです。このため、事例は「想定される課題を解決できるコンテンツであることを強調すること」を意識して作るといいでしょう。

BtoBマーケティングの勘所

集めた見込み顧客情報をリストにして営業に渡せばマーケティングの仕事はおしまいかというと、そうではありません。というのは、ただ集めた顧客リストをそのまま渡しても、営業にとっては使い物にならないからです。

営業担当者の立場に立ってみましょう。営業担当者には、自分が担当している顧客がいます。何かあれば(なくても)呼び出され、訪問しなければなりません。また、仕掛かりの案件もあって、常にフォローして受注を目指しているところかもしれません。そこに、電話をしても話を聞いてもらえるかどうか分からないような人のリストを渡されても活用するのは難しいでしょう。

当然、せっかく作ったリストも活用されないのであれば、労力の無駄でしかありません。そうならないために必要なのは、営業担当が無駄足を踏まない、確度の高いアタックリストを作ることです。そのためのポイントをいくつか紹介します。

リードナーチャリング

獲得したリードに対して、メールや電話などを通じて有益な情報を提供して、見込み顧客を有望顧客に育成することをリードナーチャリングと言います。

例えば展示会で名刺をもらったら、すかさずお礼のメールを出し、コラムや事例などのリンクをつけておけば帰りの電車の中で読んでもらえるかもしれません。また、定期的に事例を送っていれば、その人が何かの課題に直面したときに、「そういえば同じようなことが書いてあるメールがあった」と思い出してもらえるかもしれません。

このときに有効なのが、アプローチのシナリオ作成やステップメールの設定ができるMA(マーケティングオートメーション)のツールです。Webサイトのどのコンテンツを見たか、どの広告に接触したかなど、メール以外の情報も統合して、さらに有望な顧客を絞り込んでいくこともできます。

また、電話で問い合わせるのは面倒だが、メールだといつ返事が来るか分からないため使いにくいという顧客を取り込むために、Webサイトにチャットボットを設置しておくことで問い合わせの件数の増加につながるということもあるでしょう。

ABM(Account Based Marketing)

ここ数年でクローズアップされている、見込み顧客を個人ではなく企業(アカウント)単位で捉えるという考え方です。MAによるリードナーチャリングは、個人をターゲットにして育成が進みます。しかし、BtoBの場合は個人単位ではなく、企業単位で考えたほうが効率がいいのです。

展示会で名刺をくれる人や資料ダウンロードで個人情報を明かしてくれる人は、ただのひやかしということは少ないでしょうが、自社がターゲットにしている業種・規模・地域の会社かどうかは、また別の話です。もし自社がメインターゲットにしている企業のタイプが明確なら、あらかじめ企業名を見てふるいにかけておくほうが、営業担当にとっては無駄な労力が減ります。

名刺であれば企業名はすぐに分かりますし、Webサイト経由の場合もアクセス履歴やメールアドレスでドメイン名を見れば分かります。企業名が分かれば、企業の属性データベースで確認できます。また、MAツールの中には、そのような企業情報データベースを連携できるものもあります。

このように、さまざまな接点で取得した確度の高い見込み顧客リストを活用することで、前述した「後工程」における営業活動の生産性向上が期待できます。またABMでは、ターゲットに定めた企業に対して営業人員や資金を集中させることで、顧客企業からの売り上げ最大化も目指します。

BtoBマーケティングで営業効率を上げる

BtoBで最終的にクロージングするのは営業担当者ですが、営業の仕事の効率を上げるのがBtoBマーケティングの役割です。そのために、見込み顧客データの収集、見込み顧客の啓蒙・育成、見込み顧客の絞り込みを行います。ただ名刺を集めても営業の手間は減らないので、ABMやリードナーチャリングが重要です。